2024年9月10日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。
東北のレジャー施設『スパリゾートハワイアンズ』を経営する常磐興産の外資による買収。
すでに常磐興産のHP上でもプレスリリースが発表されている。
簡単にまとめると、
- ポテンシャルのありそうな日本のレジャー施設にアメリカの企業が目をつけた。
- 施設の老朽化を回収する費用がないハワイアンズ側も納得。
- 高く買うから、個人株主さん株売って!
ということ。
とはいえ、気になることもたくさんあるよね!
今回は、『ハワイアンズ(常磐興産)にTOB、その時個人株主はどうする?』をまとめます。
初心者でも分かる!TOBとは?どう対応すればいいの?
投資初心者の方でも、株式投資をしているといずれ耳にすることがある「TOB(公開買付)」。ニュースや証券会社からのお知らせで「TOBが行われます」という言葉を見ても、最初は「それって何?」となるかもしれません。そこで今回は、TOBについて分かりやすく解説し、株主としてどう対応するのがいいのかについてまとめてみました。
1. TOBってなに?初心者でも理解できる基本のキ
まずは「TOB」について。これは「Takeover Bid(テイクオーバー・ビッド)」の略で、ある企業が他の企業の株を市場ではなく直接株主から買い取る仕組みです。
つまり、「あなたの持っている株を〇〇円で買いたいです」というオファー。通常、TOBが行われる理由は、その企業を買収するためだったり、経営権を握るためだったりします。
今回は、『ハワイアンズの経営権』が欲しいアメリカの企業が「ちょっと高く買ってあげるから〇〇日までに〇〇円で売ってね☆」ということです。
発表前の株価は1200~1300円程度だったから、1,650円はかなりお得!
2. TOBの通知を受けたら何を考えるべき?
TOBの通知を受けた株主には、主に3つの選択肢があります。それぞれのメリットとデメリットを分かりやすく見ていきましょう。
① TOBに応募して株を売る
TOBに応募するということは、提示された価格で株を売ることです。例えば、今回のケースでは、常磐興産(銘柄コード:9675)の株を1株あたり1,650円で買い取るという内容でした。もし、TOB価格が市場価格より高い場合は、この価格で売るのが有利です。
- メリット:提示された価格で確実に売れるので、リスクが少ない。
- デメリット:TOB期間が終わる前に市場価格が上がった場合、その差額分を逃してしまう可能性がある。
② 市場で売却する
TOBに応募しないで、株式市場で売却することもできます。この場合、市場価格がTOB価格より高ければ、より高い価格で売却できることになります。
- メリット:市場価格がTOB価格を上回っているなら、すぐに高く売れて現金化できる。
- デメリット:市場価格が変動するため、売却のタイミングが難しい。また、TOB期間が進むにつれて、市場価格がTOB価格に近づく傾向があるため、注意が必要。
③ 株を持ち続ける
TOBに応募せず、市場でも売却せずに株を保有し続けることも可能です。ただし、上場廃止が予定されている場合、この選択肢は慎重に考える必要があります。
- メリット:企業の成長や再評価の可能性がある場合、そのまま保有することでさらに価値が上がることも。
- デメリット:上場廃止後は市場での売却が不可能になり、流動性が大幅に低下します。売りたいと思っても、売れる場がなくなることがあります。
3. TOB価格と市場価格の違いはどう見るべき?
今回、常磐興産の株価が1株1,669円(9/11日現在)と、TOB価格(1,650円)より高い状況です。この場合、市場で売った方が得に思えるかもしれませんが、いくつかの点を考慮しましょう。
- 市場価格の変動リスク:市場価格は変動します。現在はTOB価格を上回っていても、TOBの期限が近づくと市場価格がTOB価格に近づくことがよくあります。今すぐに売るなら得かもしれませんが、長く待つほど価格が下がる可能性があります。
- 確実性の違い:TOBに応募すると、提示された価格で確実に売れるというメリットがあります。一方、市場で売却するときは、売却タイミングが難しく、価格が変動するリスクを考慮する必要があります。
そのため、短期的にすぐ現金化したいなら市場で売却し、確実に利益を得たい場合はTOBに応募するのが良いかもしれません。
4. 株主優待はどうなるの?9月末の優待権利との兼ね合い
今回の例では、常磐興産の株主優待(入場券他)を受け取るかどうかもポイントです。
TOB成立後は、株は非公開化され株主優待もなくなります。今回9月末が最後の株主優待ということです。
ハワイアンズの株主の目当ては入場券のついた『株主優待』だといっても過言ではありません。うちもそうです(≧▽≦)
優待を受け取るためには、9月末の株主名簿に載る必要があります。具体的には、9月27日まで株式を保有している必要があり、その後に売却することで、優待を受け取りつつ、株も売却できることになります。
- 9月27日まで保有して優待を受ける:株主優待をもらった後、9月27日以降に株を売却することで、TOB価格1,650円や市場価格で売る選択肢が残ります。
- 市場価格がTOB価格を上回っている今は市場売却が有利:市場価格が高ければ、優待と市場売却でさらに利益が増える可能性があります。株主優待がいらないなら、今売るとTOB価格より高く売れる可能性もあります。
ただし、市場価格が9月27日以降に下がるリスクもあるため、売却タイミングには注意が必要です。ですが、TOBに申し込めば1,650円は確定なので最後の株主優待をもらっておくのもありだと思います。
おそらく、多くの株主が株主優待の利確待ちだから、10月に入ると株価はTOB価格と同等程度に落ち着くと思われます。
5. TOBに応じないで株を持ち続けるとどうなるの?
TOBに応じずに株を持ち続ける場合、特に気をつけるべき点があります。それは、上場廃止のリスクです。上場廃止後、株式を市場で売却できなくなるため、流動性が大幅に低下します。これにより、株を売りたいときに簡単に売ることができなくなります。
また、TOB後に企業が90%以上の株式を取得すると、残りの株主に対して強制的に株式を買い取る手続き(スクイーズアウト)が行われる可能性もあります。この場合、TOB価格で強制的に売却させられることが多いです。(おそらく今回もこちら)
さらに、第2回のTOB設定価格は、1,240円と大幅に低いので、第一回目と同じ価格で手放せるかどうかは不明。特別な理由がない限り素直に手放しておく方が賢明です。
まとめ
TOBが示された場合、株主としてどう対応するかは一見難しく感じるかもしれませんが、選択肢を理解し、自分の投資目的に合わせて対応すれば、安心して行動できます。
今回の常磐興産の例では、市場価格とTOB価格を比較しつつ、株主優待のタイミングも考慮することで、より利益を最大化できる選択肢を見つけられるでしょう。
- 短期で利益を確定したい場合は、株価を見て市場での売却
- 確実に売却したい場合はTOBに応募
- 優待を受け取りつつ利益も得たい場合は、9月末まで保有してその後売却
これらの選択肢をしっかり理解し、自分に合ったベストな方法を選んでくださいね!
TOBの申し込み、売却についてはそれぞれご利用の証券会社でお尋ねください。
10月14日のTOB期限を過ぎると、いろいろ面倒くさいので忘れずに申し込むようにしましょう。
上場廃止後はもちろん株主優待も廃止。これはホント残念。
ですが、施設の老朽化の修復をしたり、他のレジャー施設でのノウハウを生かしたリニューアルで、さらに我々を楽しませてくれる可能性もあります。
『ハワイアンズ』というブランドは継承するようなので、今後のさらなる発展に期待したいところですね!